助成金・補助金 読みもの(人事・労務向け記事)

クラウドタイムカード導入に活用できる「働き方改革推進支援助成金(労働時間適正管理推進コース)」を解説!

投稿日:2021年5月24日

労働基準法改正により、2020年度から賃金台帳といった労務管理書類の保存期間が5年に延長されました。一般債権に関する消滅時効期間を5年とする民法改正が行われたためです。猶予期間が設けられているため当面のあいだは3年間の保存で済みますが、その後は5年間の保存が必要になります。

労働時間の上限規制も始まっており、企業・事業主にはこれまで以上に適正な労務・労働時間の管理が求められています。これを可能にする方法の1つにクラウドタイムカードのようなシステムの導入があり、助成金を受けて取り組むことが可能です。クラウドタイムカード導入を支給対象とする、働き方推進支援助成金(労働時間適正管理推進コース)をご紹介します。

働き方推進支援助成金(労働時間適正管理推進コース)の概要

働き方推進支援助成金(労働時間適正管理推進コース)は生産性を向上させ、労務・労働時間の適正管理の推進に向けた環境整備に取り組む中小事業主を支援する助成金です。専門家によるコンサルティング、就業規則の変更、クラウドタイムカードの導入などを行った際の、経費の一部について助成を受けることができます。

対象となる事業主

働き方改革推進支援助成金(労働時間適正管理推進コース)が受給できるのは、以下のすべての要件を満たしていること事業主です。

  1. 労働者災害補償保険が適用される中小企業事業主であること
  2. 令和3年3月31日までで36協定を締結・届出をしたことがあること
  3. 交付申請時点で年5日の年次有給休暇の取得に向け、就業規則などを整備していること
  4. 交付決定前において勤怠管理と賃金計算などをリンクさせ、賃金台帳等を作成・管理・保存できるような統合管理ITシステムを用いた労働時間管理方法を採用していないこと
  5. 交付決定前において賃金台帳といった労務管理書類について5年間保存することが就業規則などに規定されていないこと

対象となる取り組み

働き方改革推進支援助成金(労働時間適正管理推進コース)受給には以下のうち1つ以上を実施していることが求められます。

  1. 労務管理担当者に対する研修
  2. 労働者に対する研修、周知・啓発
  3. 社会保険労務士や中小企業診断士といった外部専門家によるコンサルティング
  4. 就業規則・労使協定などの作成・変更
  5. 人材確保に向けた取り組み
  6. 労務管理用ソフトウェア、労務管理用機器、デジタル式運行記録計の導入・更新
  7. 労働能率の増進に資する設備・機器などの導入・更新

1と2の研修には業務研修が含まれます。6と7の機器には原則としてパソコンやタブレット、スマートフォンは含まれません。

対象となる成果目標と賃金引き上げ目標

働き方改革推進支援助成金(労働時間適正管理推進コース)を受けようとする事業主は、次のすべての目標達成を目指した取り組みが必要です。

  1. 勤怠(労働時間)管理と賃金計算等をリンクさせ、賃金台帳などを作成・管理・保存できるような統合管理ITシステムを用いた労働時間管理方法の新規採用
  2. 賃金台帳などの労務管理書類について5年間保存することの就業規則などへの新規規定
  3. 労働者・労務管理者に対する、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」についての研修の実施

目標には次の賃金引き上げを加えることができ、達成すると支給金額に加算額が上乗せされます。

  1. 指定する労働者の時間あたり賃金額の3%以上の賃金引き上げ
  2. 指定する労働者の時間あたり賃金額の5%以上の賃金引き上げ

支給金額

働き方改革推進支援助成金(労働時間適正管理推進コース)は対象取り組みにかかった費用の一部を助成する制度です。次のAとB、2つの金額のうち低い方が支給されます。

A. 成果目標達成の助成金額

次の2つのうち、低い方が支給されます。

  1. 取り組みにかかった費用×補助率3/4
    ※常時使用する労働者数が30人以下で機器の導入など(支給対象の取り組み6・7)を実施する際の所要額が30万円を超える場合の補助率は4/5です。
  2. 50万円

B. 賃金引き上げ目標達成の助成金額

上記の成果目標達成、かつ下記の労働者数の時間当たりの賃金額引上げを行った場合、賃金引上げ目標達成の加算がされます。

  • 3%以上引き上げ:1~3人で15万円、4~6人で30万円、7~10人で50万円、11~30人で1人あたり5万円です。(上限150万円)
  • 5%以上引き上げ:1~3人で24万円、4~6人で48万円、7~10人で80万円、11~30人で1人あたり8万円です。(上限240万円)

受給方法

働き方改革推進支援助成金(労働時間適正管理推進コース)は、まず交付申請を行います。事業実施計画書などの必要書類とともに、交付申請書を労働局雇用環境・均等部(室)に提出します。申請締切は11月30日ですが、早期に終了する場合もあります。

交付が決定したら計画に基づいて取り組みを実施します。取り組みは令和4年1月31日までに終了させることが必要です。取り組み終了後に行う支給申請は令和4年2月10日が締切です。

まとめ

労務管理書類の保存期間延長、労働時間の上限規制などにより、労務・労働時間については適正な管理が求められています。企業・事業主は適正管理推進に向けた環境整備に、早急に取り組む必要があります。

推進すべき取り組みの1つに挙げられるのが、従業員の勤怠についての記録や集計をクラウド上で行う、クラウドタイムカードの導入です。パソコンやスマートフォンなどで出退勤時刻が記録できるため、タイムカードの打ち忘れをなくしたり出張中の就業時間を把握したりすることができます。有給休暇取得日数、月の途中で残業時間の把握も容易にします。

事業所が複数ありタイムカードの回収が大変、勤怠データの集計にかかる手間を省力したい、残業時間数を月途中で把握して抑制していきたい、テレワークを導入したいといった事業所に、クラウドタイムカードの導入はおすすめです。働き方改革推進支援助成金(労働時間適正管理推進コース)を活用して、労務管理の効率化を図りましょう。

-助成金・補助金, 読みもの(人事・労務向け記事)
-

関連記事

2020年3月から外国人雇用状況の届出にが在留カード番号が必要になっています!

厚生労働省が令和元年10月に調査した結果によると、日本には現在約166万人の外国人労働者がいます。平成31年4月4日には新たな在留資格が創設され、また改正出入国管理法が施行されており、それに伴う新たな …

【2023年4月】制度改正についてまとめて徹底解説!

2023年4月以降は、さまざまな制度改正が施行されます。 そのため、これまでとは違ったルールが適用されることから、制度改正に伴う新たなルールについて適切に把握しておかなければなりません。 本記事では、 …

年末調整の電子化で業務はどう変わる?メリットと課題まとめ

令和2年分の年末調整から、手続きの電子化にむけた施策が実施されます。その一環として、国税庁から年末調整控除申告書作成用ソフトがリリースされました。何かと忙しい年末のこの時期、「年末調整業務を電子化して …

【2019年4月施行】36協定を違反した場合の「罰則」を分かりやすく解説!

あなたは36協定(さぶろく)と聞いて、詳細な内容、違反した場合や、提出しない場合の罰則・デメリットなどを正しく説明できるでしょうか。以前厚生労働省が行った調査では、過半数の企業が36協定を提出せずに従 …

【2019年4月施行】高度プロフェッショナル制度(高プロ)の目的、メリット・デメリットを解説!

平成30年7月に「働き方改革関連法」が成立しました。その法令内容の1つとして「高度プロフェッショナル制度(通称:高プロ)」があり、本年2019年4月から適用されます。 今回は、「高度プロフェッショナル …