社会保険労務士法人FORROU(フォロー) ロゴ

【2023年最新版】インボイス対応に活用できるIT補助金を徹底解説!

投稿日:2023年6月26日

インボイス制度に対応するためには、これまでの会計システムや受注管理システムの見直しが必要です。ITツールの導入が進んでいない企業では、会計ソフトや受発注ソフトなどの導入を進める必要もあるでしょう。

インボイス対応のためにITツールを導入する場合は、補助金を活用できます。今回は、インボイス制度に活用できる補助金の種類とその概要について解説します。

インボイス制度に活用できる補助金の種類

インボイス制度への対応にかかるコストについては、次の2つの補助金を活用できます。

  • IT導入補助金
  • 小規模事業者持続化補助金

IT導入補助金は、ITツール導入のためにかかる費用の一部について補助金の給付を受けられる制度です。インボイス制度への対応にはITツールの導入が不可欠ですが、対応にかかる費用の一部をIT導入補助金でまかなうことができます。

IT導入補助金の制度は2017年に始まったものですが、2023年も延長されることが決定しています。2023年版では、通常枠の下限額が5万円まで引き下げられたため、従来よりも利用範囲が拡大し、より使いやすい制度となったと言えるでしょう。

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の経営計画に基づく販路開拓を支援することを目的とした補助金制度です。補助金の額は50~200万円となっていますが、小規模事業者が免税事業者から適格請求書発行事業者に転換する場合には、一律で50万円の補助金が上乗せされます。

IT導入補助金の概要

IT導入補助金は、会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトなどのITツール導入にかかる費用のために利用できます。インボイス制度に対応するには、会計システムや受発注の管理システムを見直す必要があるため、IT導入補助金を活用できる場面も多いです。

IT導入補助金を活用できるITツールは、補助金事務局に届出されたIT導入支援事業者が取り扱うITツールに限られます。IT導入補助金を受け取る補助事業者は、IT導入支援事業者に支援を依頼し、共同で補助金を申請しなければなりません。

IT導入補助金には、次の3つの種類があります。それぞれに、補助の対象や補助金の額、対象となるITツールの種類が異なるため、自社に適した種類を選択する必要があります。

  • 通常枠(A・B類型)
  • デジタル化基盤導入枠
  • セキュリティ対策推進枠

通常枠は、中小企業や小規模事業者が業務効率化、売上アップのためにITツールを導入する際の費用を補助するものです。セキュリティ対策推進枠は、サイバー攻撃によるリスクを低減することを目的としたセキュリティソフトの導入などにかかる費用を最大で2年分補助するものです。

インボイス制度への対応については、デジタル化基盤導入枠の中のデジタル化基盤導入類型を利用します。デジタル化基盤導入類型は、会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトの経費の一部を補助するもので、インボイス対応など企業間取引のデジタル化推進を目的とした補助金です。

補助金の額は、50万円以下の場合には補助率3/4以内、50万円を超えて350万円までは補助率2/3以内です。

デジタル化基盤導入類型では、ソフトウェアのほか、導入関連費としてパソコンやタブレットなどのハードウェアの導入費用も対象となります。ただし、対象となるハードウェアは、デジタル化のためのソフトウェアを導入するために必要なものに限定されます。

小規模事業者持続化補助金の概要

小規模事業者持続化補助金の目的は、小規模事業者の販路開拓と生産性向上です。申請は、管轄の商工会もしくは商工会議所で行います。

対象となる小規模事業者とは、常時使用する従業員が5人~20人以下の事業者を言います。申請枠には、通常枠、賃金引上げ枠、卒業枠、後継者支援枠、創業枠が設けられており、機材設置費や広報費、ウェブサイト関連費、委託・外注費などの補助を受けることが可能です。

インボイス制度導入について税理士に相談した場合にも、外注費として補助金を申請できます。

IT導入補助金の申請についてのよくある質問

ここでは、IT導入補助金の申請についてのよくある質問に回答します。

4-1. ITツールとは?会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフトならなんでもOK?

IT導入補助金を利用できるのは、IT導入支援事業者が取り扱うITツールに限られます。導入したいITツールがある場合には、それを取り扱っているIT導入支援事業者を探してみてください。また、対応のソフトは4種類に限定されず、IT導入支援事業者が取り扱う勤怠管理ソフトなども含まれます。

IT導入支援事業者やITツールについては、IT導入補助金の公式サイトで検索できます。

4-2. サブスク型のソフトでも補助を受けられる?

IT導入補助金は、買い切り型のソフトについてはソフトの費用、サブスク型については利用料の最大2年分の費用について補助率に応じた補助を受けられます。

4-3. パソコン・タブレットの購入だけでも補助を受けられる?

デジタル化基盤導入類型では、パソコン・タブレットなどのハードウェアの購入費用も補助対象となります。

ただし、ハードウェアの購入費用は、あくまでITツール導入の関連費用として認められるものです。そのため、補助を受けるには同時にITツールも購入する必要があり、ハードウェアのみの購入では補助は受けられません。

4-4. Security Actionとは?

Security Actionとは、企業が情報セキュリティ対策に取り組むことを自ら宣言するものです。IT導入補助金を利用するには、申請企業がSecurity Actionを行うことが要件とされています。

Security Actionは、情報セキュリティ対策支援サイトに必要事項を記入することで行えます。

4-5. 過去にIT導入補助金を利用したことあるけど受けられる?

IT導入補助金を利用できるのは、1事業者につき同一年度で1度限りとされています。そのため、年度が変われば過去に補助金を利用したことがある事業者でも申請できます。

まとめ

インボイス制度への対応については、制度の理解だけではなく、対応コストの問題もあります。特に、ITツールの活用が不十分な事業者は、ソフトウェアのみならずハードウェアの導入で大きなコストが必要となるでしょう。

IT導入補助金や小規模事業者持続化補助金を活用すれば、対応コストの問題は軽減されます。補助金の申請要件を満たしている場合には、ぜひとも補助金制度を活用してみてください。

補助金の申請には、gBiz ID プライムの取得、それを使用したみらデジ経営チェックの実施、QAで紹介したS ECURITY ACTIONの宣言が必要です。

ご不明な点は行政窓口やまたはお近くの中小企業診断士までご相談ください。

関連記事

時間外労働等改善助成金(職場意識改善コース)を詳しく解説!

国内の労働環境を改善するため、国は労働時間の見直しや有休休暇の取得促進などの内容を盛り込んだ「働き方改革関連法」を2018年に成立させ、2019年4月から適用されています。 これに伴い、働き方改革を行 …

2024年4月から労働条件明示ルールの改正あり!企業担当者が押さえるべきポイントを解説

労働契約を締結する際、労働者に対して賃金や労働時間などの労働条件を明示することが使用者の義務です。労働条件明示のルールについて、2024年4月から新しく明示事項が追加されることになりました。そこで、ル …

【社労士が解説】従業員の健康管理と「ヒトを大切にする経営」

安全衛生法が改正となり、2019年4月より、すべての企業を対象に「健康情報取扱規程」の策定が義務づけられました。 背景には、ストレスチェック制度の導入や、産業医による面接指導が強化されたことで、企業が …

パワハラ防止法の施行で、「SOGIハラ(ソジハラ)」対策が企業の義務に――「SOGIハラ」って何?企業の取り組み事例や裁判例とともに紹介

2020年6月、大企業からスタートした「改正労働施策総合推進法」(通称/パワハラ防止法)。これを機に、「ハラスメント」に関する研修を受講したという人も多いのではないでしょうか。今、パワハラのみならず、 …

【図解で徹底解説】2026年度の障害者法定雇用率2.7%見直しで思わぬ支払い義務が発生?

2023年1月18日に開かれた「労働政策審議会障害者雇用分科会」より、2026年までに障害者法定雇用率の段階的な引き上げが発表されました。 2023年時点では43.5人未満では雇用義務なしですが、20 …