ハローワーク窓口受付時間、変更の背景
ハローワークでは令和2年1月から、「雇用保険適用窓口」の来所時受付時間が8時30分~16時00分に変更となりました。
これは政府が行政手続に掛かる事業者の方の作業時間(行政手続コスト)を削減するため、電子申請の利用促進を図るためとされています。今回対象となるのが、事業主などが行う申請・届出(事業所・被保険者関係手続、雇用継続給付関係手続)となります。
電子申請義務化後のハローワークの方針について
電子申請の利便性の向上に向けた今までの取組や2020年4月からの特定法人の電子申請義務化の方針などの動きにより電子申請率は着実に上昇しています。
今後の更なる電子申請率の向上のため、ハローワークにおいても雇用保険適用窓口の受付を従来の17時15分から16時までとし、16時以降は電子申請による申請・届出の集中処理を行うこととなったようです。
今後は16時を過ぎて届出が行われたものについては、即時処理ができないことになります。また、郵送の場合、郵送に伴うチェック作業等のため、来所や電子申請による申請・届出より所要期間が長くなるため注意が必要となります。
「電子申請」3つのメリット
① 24時間・365日、申請できます
雇用保険の窓口は上記にも記載しましたが土日祝日を除く平日8時30分~16時00分ですが、電子申請の場合、24時間365日いつでも申請が可能です。
又、パソコンとインターネット環境があれば場所を問わずどこからでも電子申請を行うことができます。そのため、職場や出先などのほか、在宅勤務の方でも作業ができ、遠方の支店の手続きであっても申請が可能になっています。
② 個人情報紛失のリスクが軽減できます
来所の必要が無いため、個人情報の持ち運びが不要となります。慎重な取り扱いを求められるマイナンバー等個人情報の紛失・盗難などのリスクがなくなります。
③ 時間と費用を削減できます
ハローワークへ来所する必要がないので、行くための時間や窓口での待ち時間がありません。3~4月の入退社が多い月は、長時間待つ必要がありますのでその時間と費用が削減できます。
多くの事業所を持つ企業の場合は、複数の都道府県にまたがる手続きが必要となる場合がありますが、電子申請であれば1つの場所から全国の手続きが行えるので業務効率化となります。
また、紙での申請は、申請後の管理・保管にもコストが発生しますので、この負担も軽減されペーパーレス運用が可能となります。
担当者の工数を大幅に削減できるので、業務全体のスピードアップにもつながります。
今後の行政手続きの方針について
政府は電子申請を積極的活用していく方針です。現在、規制改革実施計画のひとつとして行政手続部会を立ち上げ、様々な行政手続きの簡素化、コスト削減に向けた取り組みの検討を進めています。その実施における基本計画において、「行政手続の電子化の徹底(デジタルファースト)」と位置づけられています。
前述しました2020年4月から特定法人での電子申請義務化の方針が出されていることから、今後、電子申請はますます活性化していくことと思われます。現在は特定法人のみですが、今後中小企業にも広がってくると想定されます。
まとめ
「電子申請義務化はまだ先の話だから、日付が確定したら検討を始めよう」と考えている方も多いのではないでしょうか。しかしながら、電子申請の実運用を考慮するとシステム面の準備が必須となってきますので、早めに検討した方が良いでしょう。
また、電子申請に変更することについて、働き方改革の一環として業務効率化の好機と捉え、生産性向上に向けた業務改革をしてみてはいかがでしょうか。
そのためには、電子申請というツールの導入だけではなく、業務フローの再検討からきっちり計画することが肝要です。
電子申請は上手く使えば非常に効率的な手法です。電子化による定型業務の簡素化の流れは当然のものであり、電子申請だけに限った話ではありません。最適な手法は何なのか、そのためにはどのような準備が必要なのかを早めに検討するべきです。業務効率化のための大きな視点での検討をお勧めします。