社会保険労務士法人FORROU(フォロー) ロゴ

【失敗しない】web給与明細に切り替えるメリット・デメリットを徹底解説

投稿日:2021年10月23日

給与を現金手渡しでもらっていたのは、今から30〜40年前のこと。銀行振込が主流となり、今では給与のデジタル払いも検討されています。

同時に、給与明細を紙で渡さず、webページで内容を確認できるweb給与明細に切り替える企業が増えています。

キャッシュレス時代において、給与明細が紙では、時代に乗り遅れてしまいます。
給与明細をwebで受け取っていた人が転職し、新しい会社で給与明細が紙だと、不安になるかも知れません。

本記事では、web給与明細を取り入れる際のメリット・デメリットについて解説。
web給与明細の導入を検討している人事・総務担当者は必見ですので、ぜひ最後までご覧ください。

web給与明細の概要

web給与明細とは、給与明細をweb上で発行し、従業員がパソコン等で閲覧できる仕組みです。発行される帳票は、毎月の給与明細や賞与明細、源泉徴収票の印刷も可能です。

web明細のメリット【会社側の視点】

ここからは、web給与明細を導入する会社側のメリットを解説していきましょう。
メリットは大きく3つあります。

  1. コストの削減
  2. 業務の効率化とミスの減少
  3. 紛失リスクの低減

順番に見ていきましょう。

1. コストの削減

web給与明細を導入することで、様々なコストが削減できます。

紙で給与明細を発行する場合、

  • 紙の代金
  • 印刷費用
  • 配送スタッフの人件費
  • 郵送費

このような費用が発生します。毎月の金額は少なかったとしても、年単位で換算すると想定以上の金額が発生しているかも知れません。
特に郵送費は、在宅ワークの増加に伴い増加が見込まれます。育児休暇などの休職者に対しても郵送が発生するため、早めにweb給与明細に切り替えることで、大きなコスト削減につながるでしょう。

2. 業務の効率化とミスの減少

web給与明細を導入することで、業務の効率化とミスの減少が期待できます。

給与明細は個人情報の中でも非常にセンシティブなもの。そのため、数値に間違いがないように作成する必要があります。

web給与明細を導入すれば、管理画面の操作で給与明細の作成が可能。給与計算ソフトとの同期が可能な場合は、さらに業務の効率化につながります。

また、web給与明細であれば、従業員1人1人に手渡しや配送が不要。配布先を間違ってしまうことも起こりえませんので安心です。

3. 紛失リスクの低減

web給与明細の導入で、給与明細の紛失リスクを低減できます。

紙で給与明細を従業員に渡す場合、会社側で慎重に保管をしても、渡された従業員側で紛失してしまう可能性があります。

web給与明細を導入すれば、物理的な給与明細がなくなるため、リスクを最小化できます。

web給与明細のメリット【従業員側の視点】

web給与明細の導入による、従業員側のメリットを解説します。
メリットは大きく3つ。

  1. 給与明細の管理が簡単
  2. いつどこでも給与明細の確認が可能
  3. 給与明細の紛失リスクの低減

順番に見ていきましょう。

1. 給与明細の管理が簡単

web給与明細の導入により、給与明細の管理が簡単になります。

給与明細は毎月溜まっていくため、物理的なスペースが必要となります。その中から必要な情報を探したい場合は、一苦労でしょう。

web給与明細に変更になれば、すべてデータで管理をしているため、物理的なスペースは不要。データを閲覧もしくはダウンロードをすれば、必要な情報の検索や加工も簡単に行えます。

2. いつどこでも給与明細の確認が可能

web給与明細になることで、従業員はいつでもどこでも、給与明細の確認ができます。
パソコンやスマホなどがあれば、いつでもデータの閲覧が可能です。

3. 給与明細の紛失リスクの低減

web給与明細になることで、紛失リスクを低減できます。会社側の視点でも解説しましたが、物理的な給与明細がなくなることで、紛失リスクが最小化できます。

web給与明細のデメリット【会社視点】

次に、web給与明細を導入する場合の、会社視点でのデメリットを2つ解説します。

  1. 従業員の同意が必要
  2. 情報漏えいのリスクが発生

順番に見ていきましょう。

1. 従業員の同意が必要

web給与明細を導入するにあたり、従業員の同意が必要です。また、従業員から書面での交付請求があれば、応じる必要があることも認識しておきましょう。


従業員の承認を得る内容については、「国税庁HP」が参考なります。ぜひご覧ください。

2. 情報漏えいのリスクが発生

web給与明細は各個人のIDとパスワードにより管理しているため、何かしらの事情でIDやパスワードが漏れてしまった場合、情報漏えいのリスクがあります。
また、社内の共通パソコンを使用している場合、IDとパスワードがパソコンに登録されてしまい、他の従業員が閲覧できてしまう可能性があります。

web明細のデメリット【従業員視点】

次に、web給与明細を導入する際の、従業員視点でのデメリットを解説します。

  1. 閲覧用の端末準備が必要
  2. 紙面で必要な時は申請が必要

順番に解説します。

1. 閲覧用の端末準備が必要

web給与明細はパソコンかスマートフォンで閲覧する形となるため、これらのデバイスを用意する必要があります。スマートフォンではなく、ガラケーを使っている場合、web給与明細ソフトが対応していない場合がありますので、注意が必要です。

2. 紙面で必要な時は申請が必要

web給与明細が導入されたあとに、紙面で給与明細が必要な場合、総務や人事担当にわざわざ申請が必要になります。
会社側は要請に応える義務があるため対応してくれますが、煩雑さを感じることでしょう。

まとめ

web給与明細の概要を説明し、会社側、従業員側におけるメリット・デメリットを解説しました。デジタル庁が発足し、今では給与のデジタル払いも検討されている昨今。給与明細を紙からweb明細に変更する時期に最適かもしれません。

とはいえ、具体的にどのように進めたら良いか、わからない点があることでしょう。その場合、顧問契約をしている社労士に相談をしてみてください。きっと導入を支援してくれるはずですよ。

関連記事

パワハラ上司のイメージ画像

【社労士が解説】パワハラ防止法施行までに、企業が対応すべきこととは?予防策と解決策のサンプルをご紹介!

2019年5月に、「パワハラ防止法(労働施策総合推進法)」が成立しました。背景にあるのは、「職場でのいじめ・嫌がらせ」に関する相談件数が年々増加し、下がる兆しが見えないことです。この現状に対して、法律 …

長野や和歌山の“旅先”で働く!? 「ワーケーション」導入を検討する企業が押さえておきたい、8つのポイント

「三密」を回避しながら、経済活動を再開する。この難易度の高い課題に、全世界が取り組む今、働き方の見直しが、これまでになかったスピードで進んでいます。新型コロナに起因する働き方のもっとも大きな変化が、な …

2020年3月から外国人雇用状況の届出にが在留カード番号が必要になっています!

厚生労働省が令和元年10月に調査した結果によると、日本には現在約166万人の外国人労働者がいます。平成31年4月4日には新たな在留資格が創設され、また改正出入国管理法が施行されており、それに伴う新たな …

【社労士が解説】入管法改正に絡んで再確認しておきたい、外国人雇用のポイントと注意点!

「前回の記事」では、2019年4月から始まった改正入管法の中身についてご紹介しました。続くこの記事では、新設された在留資格「特定技能」を活用して、外国人労働者を採用・雇用するまでの具体的な流れについて …

【中小企業】猶予措置解除で60時間超え残業代が1.5倍に!実務3つのポイントを解説

2023年4月より中小企業の月60時間超え時間外労働の残業代が50%以上の割増率へと義務付けられます。大企業では既に(2010年4月より)適用されている制度ですが、中小企業においては猶予措置がとられて …