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時間外労働等改善助成金(職場意識改善コース)を詳しく解説!

投稿日:2019年3月1日

国内の労働環境を改善するため、国は労働時間の見直しや有休休暇の取得促進などの内容を盛り込んだ「働き方改革関連法」を2018年に成立させ、2019年4月から適用されています。

これに伴い、働き方改革を行う中小企業への支援の一環として、「時間外労働等改善助成金」が設けられています。国が労働環境を改善するための助成金を設けることで、ますます職場の意識改善が求められるようになってきました。

本助成金には、勤務間インターバル導入コース、時間外労働上限設定コース、職場意識改善コース、テレワークコースの4つのコースが設けられていますが、今回は「職場意識改善コース」について解説します。

職場意識改善コースの助成内容

国はワーク・ライフ・バランスの実現のために、週の労働時間が60時間以上の雇用者の割合を5割減らし、年次有給休暇の取得率を70%までにすることを目指しています。国はこの目標を2020年までに達成することを目指しており、中小企業は職場内の意識改善を求められています。

これらの目標を踏まえ、本助成金の職場意識改善コースでは、所定外労働の削減や年次有給休暇の取得促進につながる労働環境の整備に取り組む中小企業事業主を支援するため、条件を満たす事業主に対して助成金を支給しています。これらの取組に必要な経費に助成することで、企業の労働環境改善を促進することが狙いです。

例えば、新たに機械・設備を導入して生産性を向上させたい場合や、不十分な労務管理を改善するためにソフトウェアを導入したい場合、労働時間の削減に向け外部の専門家によるコンサルティングを実施したい場合などに本コースを利用することができます。

これらはいずれも社内の生産性を向上させることで、国が目指すワーク・ライフ・バランスを推進する効果が得られます。

対象事業主

本コースの適用対象となるには、労働者災害補償保険の適用事業主であり、かつ、以下の2つの条件を両方満たしている事業主であることが求められています。

①事業場の就業規則等に、病気休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇のいずれかが明文化されていないこと
②前年における、労働者の月間平均所定外労働時間数が10時間以上であること

また、本コースの支給対象となるには、以下の取組のうちいずれかを1つ以上実施する必要があります。

①労務管理担当者に対する研修
②労働者に対する研修周知・啓発
③外部専門家によるコンサルティング
④就業規則・労使協定等の作成・変更
⑤人材確保に向けた取組
⑥労務管理用ソフトウェア、労務管理用機器、デジタル式運行記録計の導入・更新
⑦テレワーク用通信機器の導入・更新
⑧労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新

なお、①、②における「研修」には業務研修も含まれます。また、⑥、⑦、⑧における機器等の導入・更新は、原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象になりません。
また、本コースの支給対象となる取組には、以下の成果目標の達成を目指して実施する必要があります。

①年次有給休暇の取得促進として、交付要綱別紙で規定する、特別休暇の何れか1つ以上を全ての事業場に新たに導入すること
②所定外労働の削減として、労働者の月間平均所定外労働時間数を5時間以上削減させること

①に関しては、交付要綱で定める事業実施期間中に、就業規則の作成・変更を行い、必要な手続を経て、施行及び所轄労働基準監督署長に届出されていることが必要です。

支給額

本コースは、成果目標の達成状況に応じて、経費の一部が支給されることになります。支給額は、以下の式で算定されます。

【対象経費の合計額×補助率】

補助率及び上限額は以下の通りです。

成果目標の達成状況 補助率 企業当たりの上限額
両方とも達成 3/4 100万円
成果目標①達成、②未達成 1/2 50万円

補助率については、常時使用する労働者数が30名以下かつ、支給対象の取組で⑥から⑧を実施する場合で、その所要額が30万円を超える場合の補助率は4/5となります。
いずれにしても、本コースの支給対象となるには成果目標①は達成することが求めらていますので、年次有給休暇の取得促進に向けた社内の取組を強化していきましょう。

昨年度からの変更点

時間外労働等改善助成金自体は昨年度の要求額から大幅に増額されているものの、本コースは3千万円程予定額が減額されています。

また、昨年度からの変更点としては、支給要件の一部が変更となっています。昨年度の支給要件には「年次有給休暇の年間平均取得日数を4日以上増加させること」という要件が設けられていましたが、今年度からは上記の通り「特別休暇の何れか1つ以上を全ての事業場に新たに導入すること」と変更されています。

その他の助成率、上限額等には変更はありませんので、新たな年次有給休暇の導入について社内で検討していきましょう。

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