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【6月15日最新版】「雇用調整助成金」は結局どうなった?助成率、申請方法、上限額の最新情報をまとめて公開!

投稿日:2020年6月15日

申請書類の書き方について

提出書類の種類、記入例(従業員数が「20名超」の場合)

まず、申請に必要な書類一式は以下の通りです。多そうに見えますが、情報がそろっていれば、すぐに作成できる書類もたくさんあります。「手間がかかりそう…」と諦めてしまうのは早計。たしかに手書きは大変ですが、Excelのフォーマットを使えば、簡単に作成できます。諦めずにトライしましょう。

様式(フォーマット)あり

✓ 支給要件確認申立書・役員等一覧
✓ 休業・教育訓練実績一覧表(★)
✓ 助成額算定書(★)
✓(休業等)支給申請書(★)  
✓ 雇用調整事業所の事業活動の状況に関する申出書(★)

様式(フォーマット)なし

✓ 休業協定書(★) ※実績一覧表に署名か記名・押印があれば省略可
✓ 事業所の規模を確認する書類 ※既存の労働者名簿、役員名簿でOK
✓ 労働・休日の実績に関する書類 ※出勤簿、タイムカードのコピーなど
✓ 休業手当・賃金の実績に関する書類 ※賃金台帳のコピーなど

(★)をつけた書類が、作成しなければならない代表的な書類です。それぞれの書き方を、記載例つきでご紹介します。詳しく中身を見てみましょう。

休業・教育訓練 実績一覧表

これは、一人ひとりの休業実績(教育訓練実績)を一覧化したものです。ひとりにつき1行で記載します。背景赤色の部分のみ入力すれば、背景水色の部分は自動的に計算されます。

記入する際の注意点として、まず上部にある「判定基礎期間」とは、賃金締切期間のことで、賃金締切日の翌日から次の賃金締切日を指します。たとえば、末〆であれば、「1日から末日」までとします。雇用調整助成金は、4月分、5月分、6月分というように、賃金締切期間毎に提出します。

③の「月間所定労働日数」は、その名の通り、月の平均所定労働日数を記載します。フルタイムなら月22日前後ではないでしょうか。アルバイトやパートタイマーならもう少し少ない数字になるでしょう。

④⑤⑥には、判定基礎期間中に「全日休業」「短時間休業」「教育訓練」した日数・時間の合計を記載します。全日休業と短時間休業の違いは、言葉の通りですが、まるまる1日を休みとしたのか、それとも、1日のうち数時間を休みとしたのかの違いです。「短時間休業」の欄だけ、単位が「時間」になっているので、注意が必要です。

この実績一覧表で出した合計の数字は、次の「助成額算定書」に転記します。転記の仕方は様式内に指示があるので、指示に従えばOKです。

助成額算定書

次の書類です。その名の通りですが、これは助成額を計算するための書類です。上記で作成した「実績一覧表」をもとに、助成額を算出します。計算の方法は次の通り。

(1)まず「前年度1年間の雇用保険の保険料算定基礎となる賃金総額」を調べます。これは、雇用保険加入企業なら必ず作成している、前年度の「確定保険料申告書」の同項目から転記すればOKです。また5月の改正で、「源泉所得税」の納付書をもとに記載しても可となりました。

(2)次に、「前年度1年間の1カ月平均の雇用保険被保険者数」を計算します。各月月末の被保険者数を合計し、12で割ればOKです。被保険者数の増減を平均するということですね。被保険者数に増減のない場合は、そのままの数を記入します。1年間ずっと5人なら「5人」です。

(3)「前年度の年間所定労働日数」は、休日出勤分を含まない所定労働日数を記載します。たとえば、年間休日数が120日の企業なら、365日-120日=245日となります。部署によって日数が異なる場合は平均を出します。「それでも出せない」という場合は、休業を実施する前のどこか1カ月の所定労働日数×12カ月で算出してもOKとなりました。そのほか、いくつかの算出方法が、フォーマット内の説明書に記載されているので、ご確認ください。

(4)上記の数字をすべて入力すると、事業場(企業)全体の平均賃金額が(4)に自動的に計算されます。これは、その事業場が労働者に支払った「年間の賃金総額(1)」を、「1カ月平均被保険者数(2)×年間所定労働日数(3)」で割った額なので、つまり、その事業所の平均した一人分の賃金日額を意味します

ここまでが、「算定書」の(1)~(4)です。

(5)は、実際に支払った休業手当の支払い率(労基法により60%以上必須/複数ある場合は低い方)を入力します。休業中も減額せず、通常と変えなかった場合は100%です。

(7)の緑背景部分の助成率は、自社に適用される助成率を選択します。先述の通り、企業規模や解雇の有無によって助成率は異なるので、該当するものを選んでください。助成率を選択すると、「助成額単価」が自動入力されますが、15000円を超える場合は、15000円に変換されます。15000円を超えて申請することはできないからです。

(8)の「月間休業等延日数」は、先に作成した「実績一覧表」から指示のある通りに転記します。ここまですべて入力を終えれば、Excel様式なら自動で「助成額」まで計算してくれます。

(休業等)支給申請書

次に「支給申請書」です。先ほどの「算定書」で計算した数字を転記する部分がほとんどなので、この書類が一番簡単かもしれません。

②の「休業等の規模」欄が分かりづらいですが、雇用調整助成金には所定労働日数に対し、休業日数が(中小)1/40、(大企業)1/30以上という条件が設けられています。その条件を満たしていることを証明するためのものです。(4)の「月間所定労働延日数」は、対象労働者の「所定」労働日数を合算したものを記載します。

最後に、振込先の口座番号を間違いなく書けば完了です。

雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書

助成金を受給するには、生産量や売上高などの事業活動を示す指標が、1カ月で5%以上低下している必要があります。この「事業活動の状況に関する申出書」は、5%以上低下していることを証明するものです。

具体的には、A欄に経営悪化「後」の1カ月の生産指標(生産量や売上高など)を記載、B欄に経営悪化「前」の1カ月(対前年同月が原則)の生産指標を記載します。C欄に生産指標が何パーセントまで下落したかを記載すればOKです。この値が95%以下であれば条件を満たします。

たとえば、コロナ前に売上が単月1000万円だったところ、コロナにより単月500万円まで下落した場合は、A欄に500万円、B欄に1000万円、C欄に「500万円÷1000万円×100」で「50」と記載します。コロナの影響で、売上が50%まで下落したということです。

休業協定書

「休業協定書」とは、労使で合意して休業を実施していることを証明する協定書です。「36協定」を締結している企業が大半だと思いますが、考え方は36協定と同じです。労働者代表との合意のもと署名・捺印をします。様式は問われませんが、以下が見本です。

提出書類の種類、記入例 (従業員数が「20名以下」の小規模事業者の場合)

ここからは、従業員数20名「以下」の小規模事業者の申請書類の書き方についてご説明します。「実際に支払った休業手当額」から助成額を算定できるという点で、20人超の企業よりも簡略化されています。

様式(フォーマット)あり

✓ 休業実績一覧表(★)  
✓ 支給申請書(★) 
✓ 支給要件確認申立書(★)

様式(フォーマット)なし

✓ 比較した月の売上等が分かる書類 ※売上簿、レジ月次集計、収入簿など(2カ月分)
✓ 労働・休日の実績に関する書類 ※出勤簿、タイムカードのコピーなど
✓ 休業手当・賃金の実績に関する書類 ※賃金台帳のコピーなど
✓ 生年月日の入った役員名簿 ※事業主以外の役員がいる場合のみ

代表的な(★)をつけた書類について、それぞれの書き方を記載例つきでご紹介します。フォーマットは、「手書き用」と「Excel用」が用意されていますが、計算する箇所が多いので、Excel用を使うことを強くおすすめします

休業実績一覧表

※黄色背景部分は自動的に計算されるので、赤字背景部分だけ入力します。

まず上部にある「判定基礎期間」とは、賃金締切期間のことで、賃金締切日の翌日から次の賃金締切日を指します。たとえば、末〆であれば、「1日から末日」までとします。雇用調整助成金は、4月分、5月分、6月分というように、賃金締切期間毎に提出するので、基本的には1カ月です。

次に、「休業手当支払い率」ですが、通常の給与に対して、何パーセントの休業手当を支払ったのかを記載します。全額支払ったのであれば100%。法定最低ラインの60%であれば60%と記載します。この支払い率は、60%を下回ることはできません。

「1日あたりに働く労働時間」欄は、所定の労働時間を記載します。1日の所定労働時間が8時間なら「8」。7.5時間なら「7.5」です。一人ひとり異なる場合は、最も多くの人に適用されている労働時間を記入します。この際、残業時間は含めません。

その下の欄は、従業員それぞれの「氏名」「雇用保険被保険者番号」を記入したうえで、判定基礎期間中に休業した「日数」と「時間」を記入します。それに対して、実際に支払った休業手当の額を⑤に記入します。月給・時給の額は人によって異なる場合がほとんどです。ここに記載するのは、それぞれの人の月給・時給に合わせて、実際に支払った休業手当の額です。なお、休業手当ではない、出勤した日の給与を含めることはできません。

全員分の記載が終わると、自動的に「合計」が算出され、休業延べ日数も自動的に算出されます。すべてが埋まれば、この書類は完了です。

支給申請書

次の書類に移ります。同じExcel内の異なるタブ「新特小第1号(支給申請書)」を開きます。こちらも、赤字背景部分のみ入力します。緑背景部分はプルダウンになっているので、該当するものを選んでください。(セルをクリックすると、「▼」で選択肢が表示されます)。黄色背景部分は、必要箇所の入力を終えると、自動的に表示されます。

この書類は、特に悩む箇所はないでしょう。最終的に、「助成予定額」が自動的に計算されます。これが実際に支給される助成予定額です。上記の記入例だと、「808.000円」もらえる、ということですね。

支給要件確認申立書

続いて、同じExcel内の異なるタブ「新特小第3号(確認申立書)」を開きます。これは、内容をよく読んで、該当のものを選択するだけです。注意点はひとつだけ、下部にある「法人番号」は、先に入力した「雇用保険適用事業所番号」とは別のもの。13桁の法人番号を書いてください。

なお、雇用保険被保険者「以外」の申請は、別のフォーマット(「緊急雇用安定助成金」)を使います。記入方法は、上記と大きな違いはないので割愛します。

提出先と提出方法、提出期限

提出先は、事業所の所在地を管轄する「都道府県労働局」または「ハローワーク」です。申請期限は、支給対象期間末日の翌日から2カ月以内でしたが、改正されました。現段階では、支給対象期間の初日が「2020年1月24日から5月31日」までの申請については、申請期限が2020年8月31日まで延長されています。

提出方法は、郵送・窓口受付です。オンライン受付も可能となっていましたが、個人情報流出事故により、現在停止中です。事故の重さから、再開にはかなり時間がかかることが見込まれます。

まとめ

ざっくりとした説明は以上です。コロナ特例開始当初と比較して、申請の手間は格段に下がりました。助成率も最大100%(全額)と高まりましたし、なんといっても上限額の引き上げによるインパクトは大きいのではないでしょうか。「雇用調整助成金」は、「もらえる額が少ない割に申請が大変だ」というイメージをお持ちかもしれませんが、改善されているので、ぜひ中身を確認してみてください。

なお、本制度は「朝令暮改」のごとく、高頻度で改正が行われています。実際に書類を作成する際は、厚生労働省の雇用調整助成金ページ(こちら、ガイドブックはこちら)をご確認ください。

※すべての情報は「2020/06/15」現在のもの

ライター:林 和歌子
大学卒業後、人材サービス大手で約12年間勤務。主に企業の採用活動に携わる。採用という入口だけではなく、その後の働き方にも領域を広げたいとの思いで独立。現在、採用支援を手がける傍ら、働き方に関するコンテンツなども執筆しています。京都大学文学部卒業(社会学専攻)。2015年、社会保険労務士の資格取得。

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